「ぎっくり腰」知っておきたい原因や経過、予防の仕方

突然の激痛に襲われるぎっくり腰は、西洋では痛みがあまりにも強烈なことから『魔女の一撃』とも言われています。

「突然痛くなって這うようにしか動けない。この痛みはいつまで続くの?」
「ぎっくり腰になる原因って何があるの?」

ぎっくり腰になってしまうと思うように動けず、いつになったら治るのかと不安になってしまいますよね。
日常生活が制限され激しい痛みを伴うぎっくり腰を経験すると、もう二度と経験したくないと誰もが感じることでしょう。
ぎっくり腰になった時に焦らないためにも、ぎっくり腰になる原因や、経過、予防の仕方を知っておきましょう。

 

1.ぎっくり腰ってなに?

ぎっくり腰

ぎっくり腰は医学的には「急性腰痛症」と呼ばれ、急に発症した腰痛のことを言います。

重いものを持とうとした時や、床に置いてある物を取ろうとした時、くしゃみや身体を捻っただけで起こることもあります。
ぎっくり腰は、日常の何気ない動作がきっかけで発症することが多いのです。

腰痛は日本人の約8割が経験すると言われていると言われています。
その中でもぎっくり腰は再発する可能性も高く、強烈な痛みを伴うので注意が必要です。

 

2.ぎっくり腰の原因とは?

ぎっくり腰

ぎっくり腰の原因は、筋肉や骨、軟骨や椎間板のトラブルであると予想されますが、はっきりとした原因が分からないことが多いのです。
ぎっくり腰は生活習慣や身体の状態など、いろいろな原因が関わり合って起こると考えられています。
ここではぎっくり腰が起こる代表的な原因を3つ紹介します。

 

(1)筋肉の疲労

ぎっくり腰は筋肉の疲労が蓄積された時に、ささいなきっかけで発症します。

日常の動作や姿勢、身体の歪みなどで筋肉は知らず知らずのうちにダメージを受けています。
そのダメージが回復することなく、積み重なり許容量を超えてしまい腰痛を引き起こしてしまうのです。

睡眠やストレッチ、栄養バランスのよい食事などで身体の状態を整えておくことが大切です。

 

(2)一箇所に負荷がかかる

ぎっくり腰は、一箇所に負荷がかかった時にも発症します。

ぎっくり腰

重たいものを持った瞬間や、急に起き上がった時、振り返った瞬間など、腰に負荷がかかった時にぎっくり腰を発症してしまうのです。
動きを切り替える時に起こりやすいので、ゆっくり起き上がるように心がけたり、急な姿勢の切り替えをしないようゆったりとした動きを心がけることも大切です。

 

(3)身体の歪み

ぎっくり腰

ぎっくり腰は、体の歪みがあると発症しやすくなります。

座りっぱなしの姿勢や、パソコンやスマホの使用などで長時間同じ姿勢でいると、身体の柔軟性が失われていきます。
体が歪んでいると、筋肉は常に緊張状態となってしまいぎっくり腰が起こりやすい状態になってしまうのです。

正しい姿勢を意識し、骨格の歪みを治すことが腰痛予防にもつながります。

 

3.ぎっくり腰の症状とは?

ぎっくり腰

ぎっくり腰のとき、身体の中で何が起こっているのでしょうか?

ぎっくり腰は、激しい運動や怪我をしたせいで起こるわけではなく、何気ない動作が引き金となって発症することが多いのです。
時間の経過とともに治っていくことが多いのですが、中には重大な病気が隠されていることもあるので注意が必要です。

 

(1)なぜ強烈な痛みなの?

ぎっくり腰になると、腰に突然激しい痛みを感じます。

痛みの原因はさまざまですが、腰の関節や軟骨に許容以上の力がかかりけがしたような状態になっていたり、腰を支える筋肉やすじなどの柔らかい組織が損傷していることが原因で強い痛みを起こすと考えられます。
強い捻挫を起こしたような状態なので、腰の捻挫とも呼ばれています。

 

(2)どんな姿勢や動きで痛くなる?

ぎっくり腰を発症すると、歩くことも立っていることも辛いくらいの痛みに襲われることがあります。

痛みが強い場合は、腰に負担のかからない楽な姿勢をとり安静にしましょう。
ぎっくり腰のときは足を伸ばして寝ると腰に負担がかかるので、下記の3つの姿勢を試してみてください。

  • 膝を曲げてエビのように身体を丸めて横になる
  • 仰向けに寝て膝の下にクッションを入れて軽く曲げる
  • 仰向けに寝て低めの台に両足を乗せる

急性期は無理をせずに安静にする必要がありますが、ずっと安静にしていると回復が遅れしまうので、無理のない程度に動かすことも大切です。

 

(3)この痛みはいつまで続く?

ぎっくり腰の痛みが続く期間には個人差があります。

一般的には、発症直後から3日程度は痛みが続き辛い状態が続くでしょう。
その後は、痛いながらも少しづつ動く範囲を増やしていき10日程度で動ける程度には回復し1ヶ月程度で治ることが多いでしょう。

 

(4)他の病気の可能性も!危険な症状5つとは?

ただの腰痛だと思っていたら実は危険な病気が隠されていることもあります。
下記の症状が当てはまる場合はすぐに専門医の診察を受けましょう。

  • 2~3日安静にしていても楽にならない
  • 安静にしていても痛みが増してくる
  • 足の痛みやしびれを感じる
  • 排尿障害がある
  • 全身の発熱がある

上記の症状がある時は、ぎっくり腰ではなく他の疾患の可能性も考えなくてはなりません。
椎間板ヘルニアや腫瘍、圧迫骨折なども疑う必要があるので、専門医を受診しましょう。

 

4.ぎっくり腰の一般的な経過・治るまでの期間は?

ぎっくり腰は1ヶ月から1ヶ月半程度で治ることがほとんどです。
痛みが強く動けないという状態は3日ほどで落ちつくので無理せずに安静を心がけましょう。
痛みが引いてきたからと無理をしたり、腰に負担をかけてしまうと悪化したり回復を遅らせてしまうので気をつけましょう。

3日目あたりからは無理をしない程度に、日常生活を送るようにしましょう。
研究でも、普段通り動いた人の方が3日以上安静にした人よりも経過が良いことが分かっています。

痛みがやわらいできたら、動かせる部位は積極的に動かすようにしましょう。

 

5.突然のぎっくり腰にも予兆がある?!再発を予防する4つの方法

ぎっくり腰になった時、少し前から普段とは違う予兆を感じていたという人もいます。
自分の体の変化に気付くことができれば、ぎっくり腰の予防にもつながります。

ぎっくり腰になってしまうと完治にも時間がかかり、日常生活に影響が出てしまいます。
ぎっくり腰の予兆を感じたら、悪化する前に予防法を試してみましょう。

 

(1)ぎっくり腰の予兆

ぎっくり腰

ぎっくり腰は筋肉の疲労が原因で起こることが多く、「なんとなくいつもと違うな。」と予兆を感じることも多いのです。
ここでは代表的なぎっくり腰の予兆を紹介します。

  • 腰が突っ張っている感じがする
  • 腰がだるくて重く感じる
  • 寝返りの時に痛みを感じた
  • 同じ姿勢で腰に負担をかけた
  • 足腰が冷えている

腰の筋肉が疲労すると血液が循環しにくくなり、重く感じたり鈍痛を感じるようになります。

突然起こるぎっくり腰ですが、筋肉の疲労を溜め込まないことや、血行改善を心がけることで予防することができます。
予兆を感じたら早めケアしましょう。

 

(2)ぎっくり腰の予防する4つの方法

一度ぎっくり腰になると1年以内に約1/4の人が再発すると言われています。
ぎっくり腰が治ったとしても、同じような生活を続けていては再発のリスクが増してしまいます。
ぎっくり腰の痛みを繰り返さないためにも、日常生活で予防することが大切です。

ここではぎっくり腰の予防法を4つ紹介します。

毎日の動作を少し意識するだけで、体の状態は大きく改善することができます。
痛みのない健やかな身体を目指しましょう。

 

予防法1.ストレッチをして筋肉をほぐす

ぎっくり腰

ぎっくり腰の予防法はストレッチをして筋肉をほぐすことです。

筋肉は動かさないとどんどんと固まっていきます。
寝る前に腰回りのストレッチをして、可動域を広げておくと筋肉が固まるのを予防できます。

 

予防法2.同じ姿勢が続かないようにする

ぎっくり腰の予防法は同じ姿勢が続かないようにすることです。

デスクワークや立ちっぱなしの姿勢は腰に大きな負荷がかかります。
血流を良くするためにも、立ち上がって歩く、軽い運動をするなど適宜姿勢を変化させるように心がけましょう。

 

予防法3.正しい食生活を意識する

ぎっくり腰の予防法は正しい食生活を意識することです。

暴飲暴食や油もののとりすぎは内臓に負担を与えてしまいます。
内臓に負荷がかかると、内臓を守ろうと周囲の筋肉が緊張状態になりこわばりの原因となります。

内臓のストレスを減らすことで、周囲の筋肉への負担を減らすことができます。

 

予防法4.血の巡りを良くし身体を温める

ぎっくり腰の予防法は血の巡りを良くし、身体を温めることです。

冷えは万病のもとというように、血の巡りは身体のコンディションを大きく左右します。
湯船につかって身体を温める、適度な運動をすることで血の巡りをよくするように心がけましょう。

 

6.まとめ

ぎっくり腰は、筋肉の疲労や体の歪みなどの原因が重なり合った時に起こることは多く、日常生活を見直すことで予防できます。
2~3日安静にしても痛みが引かない場合は、他の病気の可能性も考えられるので専門医を受診しましょう。

再発しないためにも、柔軟な筋肉をつくり、血流を良くすることが大切です。
毎日の生活を意識して、痛みのない健やかな体作りを目指しましょう。


監修:松林伸弥 / やつひめ整骨院代表監修:松林伸弥 / やつひめ整骨院代表
柔道整復師 / 全国冷え症研究所 八女分室 所長
この世界で20年の経験。自分の整骨院を開業して13年。
今までの総患者数15,000人以上サポートし、リピート率約80%を実現している。
とにかく日常生活を思い通り過ごしてもらいたいということが一番。
自身の経験で、高校の柔道活動の中、ケガをして、近くの整形外科に行くと、レントゲンに異常がなかったので、湿布をだされて終わりという処方でよくなりませんでした。
わらをもすがる気持ちで近くの整骨院にいったところ、先生が試合で、少しでも全力が出せるようにと親身に接して下さいました。本当に嬉しかったです。
同じように悩む患者さんに全力でサポートしたい!と思い今日に至っています。

この記事を書いた人

監修:松林伸弥 / やつひめ整骨院代表

Shinya Matsubayashi

国家資格:柔道整復師
社団法人全国病院理学療法協会公認
運動療法機能訓練技能士
財団法人日本体育協会公認
スポーツリーダー
特定非営利活動法人オーソティックスソサエティー公認 
フットケアトレーナー マスターライセンス取得
全国冷え症研究所
八女分室室長