高齢者の腰痛、急に腰痛を訴えたらどうしたらいい?

高齢になると、腰痛を経験する人は少なくありません。
特に、60歳以上の高齢者は、腰痛のリスクが高くなります。

もし、急に腰痛を訴えた場合は、以下のようなことに気をつけましょう。

  • 安静を心がける

腰痛のときは、安静を心がけることが大切です。
無理に動くと、症状が悪化する可能性があります。

  • 鎮痛剤を服用する

痛みがひどい場合は、鎮痛剤を服用しましょう。
鎮痛剤を服用したあとは痛みがないからと言って動かずにできるだけ安静にして過ごしましょう。
市販薬でも十分な効果が得られる場合が多いですが、痛みが長引く場合は、医師に相談しましょう。

  • 病院を受診する

腰痛の症状によっては、病気が原因の場合があります。
以下のような症状がある場合は、必ず病院を受診しましょう。

* 腰痛のほかに、発熱や吐き気などの症状がある
* 腰痛が長引く
* 腰痛が寝ているときも続く
* 脚のしびれや痛みがある
*おしっこをする時や尿意を感じた際に腰痛が強くなる

60歳以上の高齢者に多い腰痛の症状

腰痛

60歳以上の高齢者に多い腰痛の症状には、以下のようなものがあります。

いつの間にか腰が痛い

明確な原因がなく、徐々に腰痛が強くなっていく場合や加齢による骨や軟骨の変形などが原因で腰痛が進行することがあります。

腰の筋肉や関節が硬く、動きにくかったり、腰の痛みによって、立ち上がったり、歩いたりするのが困難になっていませんか。
症状がみられる場合は、早めに医療機関を受診して、原因を特定し、適切な治療を受けることが大切です。

ちょっとした転倒

高齢者は、骨粗しょう症や筋力の低下などによって、転倒しやすい傾向にあります。
転倒やぶつかったとき、腰に強い衝撃が加わり、腰痛を引き起こすことがあります。

<ちょっとした転倒で起こる腰痛の特徴>

  • 転倒直後から腰痛が強い
  • 腰の痛みによって、立ち上がったり、歩いたりするのが困難になる
  • 腰の痛みによって、排尿や排便が困難になる
  • 咳やくしゃみ、笑ったりすると痛みを強く感じる。

具体的な転倒の例としては、歩いているときにつまずく、階段を降りるときに足を踏み外す、滑って転ぶなどが挙げられます。

<転倒を予防するために、気をつけること>

  • 歩くときは、足元をよく見て、ゆっくりと歩く
  • 階段を降りるときは、手すりにつかまり、ゆっくりと降りる
  • つまずきやすい場所には、マットや滑り止めを敷く

<骨粗しょう症の治療も重要です>

骨粗しょう症によって骨が弱くなっていると、転倒の際に骨折しやすくなります。
骨粗しょう症の治療には、骨密度を測定して、骨密度が低い場合は、薬物療法や運動療法などが行われます。
骨粗しょう症は運動不足で骨への刺激が少ない場合や日光をあまりあびない、カルシウム不足などでもなります。

骨粗しょう症の予防に努めることで、腰痛の予防にもつながります。

寝起き時に強い腰痛

寝ている間は腰痛が緩和されているが、起き上がると腰痛が強くなることはありませんか。
寝ている間に腰の位置がずれ、筋肉や関節が固まって動きにくくなり、痛みが出ることがあります。

<腰痛の予防や改善のために、気をつけること>

  • 寝る前にストレッチをすることで、腰の筋肉をほぐし、血行を良くするといいでしょう。
  • ベッドの硬さや高さは、自分に合ったものを選ぶことが大切です。硬すぎると腰に負担がかかり、柔らかすぎると腰が沈んでしまうためです。体が全面接地するくらいやわらかく、寝返りがさっとできるくらいの硬さを選びましょう。
  • 日中に適度な運動をすることで、腰の筋力を強化し、腰痛の予防につながります。

脚のしびれや痛みをともなう腰痛

足のしびれや痛み

腰の神経を圧迫する病気が原因で、脚のしびれや痛みをともなう腰痛が出ることがあります。

<60歳以上の高齢者に多くみられる、脚のしびれや痛みをともなう腰痛症状>

  • 腰部脊柱管狭窄症

腰椎の骨や靭帯が変形することで、脊柱管が狭くなり、神経を圧迫することで腰痛やしびれ、足の痛みなどの症状を引き起こします。

  • 椎間板ヘルニア

腰椎の椎間板が破れて、中の髄核が飛び出し、神経を圧迫することで腰痛やしびれ、足の痛みなどの症状を引き起こします。

  • 坐骨神経痛

坐骨神経は、腰から足にかけて伸びる神経です。
この神経が圧迫されることで、腰痛やしびれ、足の痛みなどの症状を引き起こします。

<腰痛の予防や改善のために、気をつけること>

対処法を実践することで、脚のしびれや痛みをともなう腰痛の改善が期待できるでしょう。

  • 正しい姿勢を心がける ➡腰への負担を軽減することができます。
  • 無理な姿勢を長時間続けるのを避ける ➡腰の筋肉や関節を休ませることができます。
  • 適度な運動をする ➡腰や腹筋の筋力を強化し、腰痛の予防につながります。
  • 体重を適正に保つ ➡腰への負担を軽減することができます。

高齢者の腰痛診断

腰痛

高齢者の腰痛の診断には、問診や身体検査、画像検査などが行われます。
主に、以下の流れになります。

1.問診

問診では、腰痛の症状や原因となる可能性のある病気について詳しく聞かれます。
主訴(腰痛の症状)、既往歴、家族歴、生活歴、社会歴などについても問われます。

2.身体診察

身体検査では、腰や脚の動きや感覚を調べます。
また、腰の痛みやしびれ、足の痛みなどの症状の程度や、筋肉の緊張や関節の可動域の制限などを確認します。

3.画像検査

<画像検査>・・・X線やMRI、CTなどで腰の状態を詳しく調べます。
<レントゲン>・・・骨や関節の状態を確認することができます。
<CT>・・・骨や関節の状態をより詳細に確認することができます。
<MRI>・・・軟部組織(筋肉や靭帯、神経など)の状態を確認することができます。

4.血液検査

血液検査では、炎症や感染の有無を確認することができます。
これらの検査の結果をもとに、腰痛の原因を特定し、適切な治療方針を決定します。

高齢者の腰痛の治療・リハビリ

腰痛

高齢者の腰痛は、原因によって治療方針が異なります。
そのため、早めに医療機関を受診し、適切な診断と治療を受けることが大切です。
高齢者の腰痛治療には、以下のようなものがあります。

<主な治療法>

●薬物療法:鎮痛剤や消炎剤、ビタミンB12などの薬、筋弛緩剤などの薬が使用されます。
●理学療法:ストレッチや筋力トレーニングなどの運動療法を行います。
●手術療法:重症の場合は、手術で痛みや神経の圧迫を解消します。

<リハビリの流れ>

高齢者に多い腰痛のリハビリは以下の段階に分けて行われます。

1.初期リハビリ

通常、リハビリは痛みが軽減してから開始されます。
初期リハビリは、腰痛の症状が落ち着くまでの期間に行われます。

この期間では、以下のことに重点を置きながら過ごします。

1)安静腰への負担を軽減するために、安静を保つことが大切です。
無理な姿勢を長時間続けるのを避け、痛みが強い場合は、横になって休むようにしましょう。
2)鎮痛・消炎鎮痛剤や消炎剤などの薬を使用して、腰痛の症状を軽減します。
3)ストレッチ最初は、痛みを和らげるストレッチやマッサージなどの運動療法を行います。
腰の筋肉をほぐし、血行を良くするために、ストレッチを行います。

2.中期リハビリ

中期リハビリは、腰痛の症状が落ち着いた後から、腰痛の再発を予防するために行われます。
痛みがさらに軽減してから、筋力トレーニングなどの運動療法も取り入れていきます。

筋力トレーニング腰の筋力を強化することで、腰への負担を軽減し、腰痛の再発を予防します。
姿勢改善正しい姿勢を身につけることで、腰への負担を軽減し、腰痛の再発を予防します。
日常生活動作訓練日常生活で必要な動作を訓練することで、腰痛の再発を予防します。

3.終末リハビリ

終末リハビリは、腰痛の再発を予防するために、継続して行うリハビリです。
この期間では、以下のことに重点を置きます。

筋力トレーニング筋力トレーニングを継続することで、腰への負担を軽減し、腰痛の再発を予防します。
姿勢改善正しい姿勢を意識して生活することで、腰への負担を軽減し、腰痛の再発を予防します。
日常生活動作訓練日常生活で必要な動作を、無理なく行うように訓練することで、腰痛の再発を予防します。

<リハビリの注意点>

60歳以上の高齢者は、腰痛が強い場合は、無理をせずに安静を保ちましょう。
そして、リハビリの効果を出すためには、継続して行うことが大切です。

自分に合ったリハビリを行うために、できる限り医師や理学療法士の指導を受けましょう。
高齢者の腰痛は、原因によって治療方針が異なります。
そのため、早めに医療機関を受診し、適切な診断と治療を受けることが大切です。
リハビリも併用することで、腰痛の症状を改善し、再発を予防することができます。

腰痛でも動かないと歩けなくなる?寝たきりを予防するために

腰痛

腰痛があっても、できるだけ動くことが大切です。
動かないと、筋力が低下して腰痛が悪化し、さらに歩けなくなる可能性もあります。

腰の負担をかけない日常動作を心がけましょう。
また、高齢者でも簡単なストレッチや筋力トレーニングを行い、腰痛を予防しましょう。

腰痛に効くツボを押すのも効果的です。

  • 命門(めいもん):腰の真ん中に、背骨のすぐ下のツボ。
  • 大腸兪(だいちょうゆ):腰の両側、背骨から指4本横に、骨盤のすぐ下のツボ。
  • 腎兪(じんゆ):腰の両側、背骨から指3本横に、骨盤のすぐ下のツボ。

まとめ

高齢になると、腰痛のリスクが高くなります。
もし、急に腰痛を訴えた場合は、安静を心がけ、鎮痛剤を服用しましょう。

また腰痛は病気が原因の場合もあるため、病院を受診しましょう。

腰痛でも動くことが大切なので、適切な診断と治療を受けた後は、医師や理学療法士の指導をよく確認して腰の負担をかけない日常動作を心がけ、ストレッチや筋力トレーニングを行うようにしましょう。もちろん当院にお尋ねしていただいても結構ですよ。

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やつひめ

福岡県八女市のやつひめ整骨院です。
腰痛・肩こり・冷え性・その他スポーツ障害について、
よく伺う悩みや対処方法をブログでご紹介しています。